日本の雇用社会構造は、①急速な少子高齢化の進展、②テクノロジー変化の急激な進展、③グローバル化の変容等を受けて、大きな変革を迫られています。いわゆる終身雇用・年功制を特徴とする日本的雇用システムの綻びが目立ってきており、個人がその雇用保障を一企業ないし一企業グループでの雇用維持に頼れなくなってきました。企業側はこれまでの雇用管理の在り方を、また個人の側は組織や仕事への向き合い方を、それぞれ見直す動きを示すなか、キャリア展開を各個人がより主体的に行うことができる環境整備が企業、国等に求められています。
「職業生活をつうじて幸福を追求する権利=キャリア権」の保障をより具体化し、企業任せのキャリア形成だけでない能力開発支援、キャリアの形成・キャリアの転換支援の重視を、新たな労働政策として強化すべき時代となっています。
こうした観点から、2019年度から2021年度において、(公財)労働問題リサーチセンターの直轄事業として「新労働政策研究会」が組織されましたが、わが国の労働政策の中期的課題とキャリア保障のあり方を整理し、労働政策が取り組むべき中長期的課題とキャリア保障のあり方につき、2019年度中間報告書、2021年度報告書をとりまとめました。2022年度以降は、(一社)ダイバーシティ就労支援機構が(公財)労働問題リサーチセンターから調査研究を受託し、2021年度までの研究を継続、発展させました。2022年度報告書、2023年度報告書では、総論において、これまでの議論状況のまとめとして、キャリア権を主軸とした中長期的視点から労働政策のあり方を整理し、各論として、研究会メンバーが研究会での議論動向を踏まえながらそれぞれの見解を論じています。
2024年度研究においては、わが国の労働政策を、キャリア権を基軸に諸方面について見直し、雇用労働政策へのより具体的な反映をめざした最終提言をまとめることとしています。
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