- 要旨:「ダイバーシティ就労支援」の重要性が高まっています
- 調査の概要
- 主な結果①:多くの支援機関が様々なタイプの就労困難者を幅広く受け入れている
- 主な結果②:就労困難者の就労支援にあたっては、医療支援、社会参加支援なども併せて行われている
- 主な結果③:外部の機関を利用して、分野横断的に各種福祉制度等を活用する支援機関が多い
- 主な結果④:8割以上の支援機関が新型コロナの影響を受けている
- 主な結果⑤:プラットフォームへの参加意向・関心は高い
要旨
「ダイバーシティ就労支援」の重要性が高まっています
「ダイバーシティ就労支援」とは
「ダイバーシティ就労支援」とは、障害者、引きこもりをはじめ多様な就労困難な人々が社会の一員として一緒に働けるように支援をすることです。
就労支援機関アンケート調査の主な結果
本調査は、”WORK! DIVERSITY” プロジェクト の一環として、障害者、引きこもり、生活困窮者、その他さまざまな就労困難な状況にある方々を支援する機関とその活動の実態を把握するために行いました。
※ 調査の方法等については「調査の概要」を参照してください。
調査の結果、多くの支援機関が様々な就労困難者を幅広く受け入れ、分野横断的に活動・連携していることが明らかになりました。
またこれらの支援機関が新型コロナの影響を大きく受けていることもわかりました。
今後、日本財団とダイバーシティ就労支援機構は “WORK! DIVERSITY” プロジェクトにより、全国各地のさまざまな支援機関をネットワーク化し、活動をサポートしていきます
支援機関が制度の枠を越えて活動している一方、国等の制度は障害者対策、引きこもり対策など対象者別の縦割りとなりがちであり、そのため様々な外部の機関との連携・協力が必要となっています。
今回の調査でも、多数の支援機関が、関係機関の連携を容易にするための基盤としてのプラットフォームを作ることに関し、参加意向又は関心をもっています。
“WORK! DIVERSITY” プロジェクトは、今後、これらの機関をネットワーク化して「ダイバーシティ就労支援」の活動をサポートするためのプラットフォームづくりをしていきます。
※ “WORK! DIVERSITY”プロジェクトは、一般社団法人ダイバーシティ就労支援機構が日本財団から委託を受けて実施しています。
※ ダイバーシティ就労支援はこちらをご覧ください。https://jodes.or.jp/diversity/
※ WORK! DIVERSITYプロジェクトはこちらをご覧ください。https://jodes.or.jp/nippon-foundation/
調査の概要
1.調査の対象
障害者、病気を持っている方、ニート、刑余者、ひとり親世帯、ホームレス、外国人、LGBT など多様な就労困難者の就労を支援する機関 (事業所単位、全国)。ただし、今回調査では障害者就労継続支援事業所及び障害者就労移行支援事業所は除く。
具体的には以下の方法で選定した約1800事業所を調査対象とした。
- 障害者就業・生活支援センター
- 障害者就労支援センター (東京都、埼玉県)
- 都道府県就労支援事業者機構
- 地域若者サポートステーション
- 生活困窮者自立支援事業(就労準備支援事業)受託団体
- Web上でキーワード検索により選定した民間団体
2.調査期間
原則として、2021年1月1日における状況を把握することとし、2021年3月4日から3月26日を調査期間とした。
3.調査方法
調査票は郵送で配布し、回答はオンラインによる回答又は郵送による回答とした。調査票の印刷・配布、Web調査票の作成、調査票の回収、データエントリ、基本集計は調査機関((株)中央調査社)に委託して行った。
回答のあった事業所のうち、就労支援を行っていると回答した事業所502所を有効回答として集計を行った。
今回調査では就労支援を行っていると考えられる事業所に調査票を送付したが、実際には就労支援を行っていない事業所を排除できなかった。そのため、調査にあたっては、まず「就労支援の有無」を調査し、「就労支援を行っていない」と回答した事業所についてはそれ以上の調査は行っていない。
4.有効回答
調査票送付 1,772
回答事業所 591 (回収率 33.4%)
うち就労支援あり 502 (有効回答率 28.3%)
うち就労支援なし 89
主な結果①
多くの支援機関が様々なタイプの就労困難者を幅広く受け入れている
- 多くの機関で、様々なタイプの就労困難者を幅広く受け入れている
- 例えば障害者就業・生活支援センターでは障害者だけでなく、難病患者等、ニート・ひきこもり、生活困窮者等、刑務所・少年院出所者などを受け入れ、支援をしている
- また、地域若者サポートステーションは、ニート・ひきこもりのほか、生活困窮者、障害者等を幅広く受け入れている
主な結果②
就労困難者の就労支援にあたっては、医療支援、社会参加支援なども併せて行われている
- 就労支援活動としては、一般相談のほか、ハローワーク・企業への同行支援、ネットワークの構築・参加などが多い
- 就労支援と併せて様々な活動が行われており、特に医療支援、社会参加支援、各種制度利用支援、家族支援が多い
注)
医療支援(受診勧奨、病院同行等)
社会参加支援(趣味の活動、地域活動、ボランティア参加等)
各種制度利用支援(手帳・年金の申請補助等)
家族支援 (家族関係の調整、家族が抱える課題に対する支援等)他の日常生活の支援(金銭管理、買物、料理等)
家計支援(家計の相談、債務整理、納税相談等)
居住支援(住まい探し、家賃債務保証等)
主な結果③
外部の機関を利用して、分野横断的に各種福祉制度等を活用する支援機関が多い
- 地域若者サポートステーションの2/3、生活困窮者自立支援事業の4割が、障害者の就労支援を行う外部の就労継続支援A型事業所を活用するなど、支援対象者の多様性に応じて様々な外部機関と連携し福祉制度を活用している
主な結果④
8割以上の支援機関が新型コロナの影響を受けている
- 主な影響としては、企業からの求人の減少・就職の困難化があり、対応面では支援活動の一部制限、企業実習の停止・減少等をあげる支援機関が多い
主な結果⑤
プラットフォームへの参加意向・関心は高い
- 就労困難な人々の就労に向けた個別支援を連携・協力(チーム)により支えるためのプラットフォームについて、事業所の7割が参加意向・関心あり
- 残りの大半も、「この情報では何とも言えない」ということであり、内容次第では参加の可能性あり