主な成果①
ダイバーシティ就労支援ネットワーク構想(仮称)の構築を目指すことになりました。

総合報告書

ダイバーシティ就労支援ネットワーク構想のもと、2つのプラットフォームを検討しています。

ダイバーシティ就労支援地域プラットフォーム

都道府県レベル(少なくとも、複数市区レベル)では、地域プラットフォームを構築し、地域支援機関、就労事業所(企業、福祉事業所)、就労困難者(本人、家族、当事者団体)、自治体・行政機関の調整・協働支援を行う。

ダイバーシティ就労支援ネットワーク構想

ダイバーシティ就労支援全国プラットフォーム

地方での取組みを支援するため、主要関係団体を巻き込む全国プラットフォームを構築し、相談・助言、就労支援機関情報・先進事例・専門家リスト・モデル支援プログラム・モデルキャリアラダー(キャリアのはしご)等地方の取り組みを支援するツール・情報を開発・提供する。この地域での取組み支援に対し、ファンド等を活用し必要資金を供給する。

主な成果②
態様の異なる多様な就労困難者への対応検討を深化させました。

2020年度、2021年度において、就労に関して困難や課題を抱える「ひきこもり者」、「難病患者」、「刑余者」、「LGBT」のそれぞれの分野ごとに、有識者から、現状の分析や課題、今後に向けての提案などの話をお伺いしました。

就労困難者には、①アウトリーチ(積極的に対象者の居る場所に出向いて働きかけること)が必要な引きこもり、ホームレス等、②保健医療機関との関係が重要な難病患者、様々な依存症患者(薬物依存、ギャンブル依存、アルコール依存等)、③差別問題が大きなウエイトを占めているLGBT、刑務所出所者等、多様な方々がおり、対応策が異なる側面もありますが、他方で、相談・カウンセリングや個別事情に応じた能力開発・職業訓練が重要であること、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョンの考え方(社会の一員として受け入れる暖かさ)の浸透が大事なこと等、共通の横ぐし方策が考えられます。 

ダイバーシティプロジェクトでは、2021年3月に、新部会、「態様の異なる就労困難者への横断的支援方策検討部会」((略称)横断的支援部会)を設置しました。各分野独自の課題・対策と横断的な検討が可能な課題・対策を整理の上、具体的な就労支援方策の検討を行っていきます。

主な成果③
ダイバーシティ就労による経済効果・財政効果を推計しました。

「経済・財政・社会保障収支・労働需給バランス」検討部会では、WORK! DIVERSITYプロジェクトの本格的効果分析の準備として、ダイバーシティ就労の経済・財政効果の試算を行いました。

さまざまな試算上の仮定を置いていることに留意する必要がありますが、就業増加期待数に相当する270万人の就労が実現した場合、名目GDPの約1%、年間5.8兆円を増大させる経済効果、政府の財政収支を2.3兆円改善する効果があると推定しました。

(注)  2020年度「バランス部会」報告書の「2. ダイバーシティ就労の経済・財政効果試算」において推計に誤りがあったので訂正しました。修正内容はこちら を参照してください。(2022年7月)

経済・財政・社会保障収支・労働需給バランス検討部会報告書 (2022年7月訂正)

主な成果④
欧米主要国と日本における、新型コロナウイルス感染拡大の影響を把握しました。

コロナ禍における欧米諸国の動向把握のため、アメリカ、フランス、ドイツ、フィンランド、デンマークの海外研究者から、①コロナウイルス感染拡大による雇用就業状況の変化、②政府等による新たな支援策(就労支援、能力開発、所得保障等)の報告を送付いただき、「2020年度海外状況整理部会報告書」で整理しました。

欧州諸国は、仕事に出かけず巣ごもり(ステイ・ホーム状態)になっても、セーフティネットが整備され、基礎的生活が成りたちやすい 。今回のコロナウイルス禍では、ロックダウンの実施とセーフティネットの補完措置が実施されました。他方、セーフティネットが弱いアメリカでは、個人へ巨額の現金給付、失業者へ多額の失業保険給付が支給されました。

日本の状況についても、新型コロナウイルス感染拡大の就労困難者への影響に関し、各機関で行われている既存調査や研究の整理を行いました。

海外状況整理部会報告書

主な成果⑤
日本財団第2回WORK ! DIVERSITYカンファレンスで、多様な観点からの議論が展開されました。

2021年3月5日、「多様な人材を活かすダイバーシティな社会への変革をめざして」を基調テーマに、厚生労働省の後援をいただき、日本財団主催の2nd WORK! DIVERSITY カンファレンスをオンライン方式で開催しました。

「2nd WORK! DIVERSITYカンファレンス」報告書

蒲原基道元厚生労働事務次官は、「ダイバーシティ就労と地域共生社会」と題する講演で、地域共生社会の基本コンセプトは、支える側と支えられる側という関係を超えたすべての人を対象にした分野横断的な支援であり、就労支援は労働施策と福祉施策の連携が鍵と強調されました。

清家篤日本財団 WORK! DIVERSITY プロジェクト全体委員会委員長(日本私立学校振興・共済事業団理事長、全国社会福祉協議会会長、慶應義塾学事顧問)は、「ダイバーシティ就労で持続可能性を高める」と題する講演で、社会の支え手を増やすために、①健康の確保・増進、②子育て支援や介護充実、③能力開発機会の拡充の必要性、行政のスリム化の中での市民の支え合いの重要性を説かれ、社会保障・社会福祉の充実は将来への最大投資だと強調されました。

「WORK ! DIVERSITY プロジェクトと推進フォーラム・地域プラットフォーム構想」と題したパネルディスカッション第1部では、駒村康平慶應義塾大学経済学部教授(ダイバーシティ就労支援研究プラットフォーム企画委員会委員長)の座長の下、池田徹生活クラブ風の村理事長、山田啓二京都産業大学教授(前京都府知事)、古都賢一全国社会福祉協議会副会長、唐木啓介厚生労働省社会援護局地域共生社会推進室長をパネリストとして、ポストコロナを見据えて、SDGsなどの新しい発想を取り入れて、ダイバーシティ就労支援の観点を積極的に取り上げ、社会の潮目を変えていかなければならないと、活発なディスカッション が行われました。

パネルディスカッション第1部
「WORK ! DIVERSITY プロジェクトと推進フォーラム・地域プラットフォーム構想」

「働きづらさを抱える多くの人々を就労につなげよう!」と題したパネルディスカッション第2部では、藤木則夫ダイバーシティ就労支援機構主任調査員の座長の下、伊藤正俊 KHJ 全国ひきこもり家族会連合会理事長、辻邦夫日本難病・疾病団体協議会常務理事、三宅晶子(株)ヒューマン・コメディ代表、藥師実芳(認定NPO法人)ReBit 代表理事をパネリストとして、難病患者、ひきこもり、刑務所出所者、LGBTなどの方々など態様の異なる人たちの就労支援の現状や課題、今後に向けた取組の方向について、活発な議論が行われました。

パネルディスカッション第2部
「働きづらさを抱える多くの人々を就労につなげよう!」

主な成果⑥
ダイバーシティ就労支援機関アンケート調査を実施しました。

日本財団WORK ! DIVERSITY プロジェクトでは、主な成果①にあるように、今後、多様な就労困難状況にある方々への支援活動を行う全国各地のさまざまな組織をネットワーク化し、将来的な支援体制の礎とすることをめざすことになりました。そのため、ダイバーシティ就労支援ネットワーク構築のための基礎データを得ることを目的として、各都道府県において利用可能な就労支援サービス提供機関(以下「支援機関」という。)の特性・能力等を明らかにするため、ダイバーシティ就労支援機関アンケート調査を実施しました。

詳しくは「就労支援機関アンケート調査(2020年度)」をご覧ください。