障害者就労支援機関のダイバーシティ就労支援の取り組みを調査

障害者以外の就労困難者の支援にも高い意欲
課題は人材・ノウハウの不足

日本財団は2021年12月、障害者就労支援機関[1]に対し、「障害以外の」様々な就労困難要因を持つ者(「多様な就労困難者」)の就労支援の現状、意欲、課題等について把握するための調査を(一社)ダイバーシティ就労支援機構に委託して行いました。

 その結果、障害者就労支援機関には現在でも障害者福祉サービスの枠内では受け入れできない多様な就労困難者が来訪していること、そうした方々へ支援していきたいという意向を持つ機関が少なくないこと、受け入れに当たっての最大の課題は人材・ノウハウの不足であること、などがわかりました。

日本財団では、障害、病気、ニート・ひきこもり、刑務所出所者、ホームレスなど多様な就労困難要因を持った人々が働くことを通じて社会に参加していくことを目指して就労支援に取り組むWORK! DIVERSITYプロジェクトを推進しています。この事業では様々な就労支援機関が連携して支援に取り組むことを目指していますが、様々な就労支援機関の中で障害者就労支援機関は質量とも充実しており、大きな役割を果たすことが期待されます。

 今回の調査で障害者就労支援機関がダイバーシティ就労支援支援に対して前向きであることや、支援に当たっての課題等が明らかになりました。

日本財団では、今後、本調査結果を踏まえ、WORK! DIVERSITYプロジェクトを推進するため、障害者就労支援機関が参加したモデル事業の実施、様々な就労支援機関のネットワーク化、ダイバーシティ就労支援を行う人材を育成するための研修事業の実施等を進めていく考えです。

調査及び調査結果の概要は以下の通りです。

なお、詳細な報告についてはこちら(pdf)をダウンロードしてご覧ください。


[1] 障害者総合支援法に基づく就労移行支援、就労継続支援(A型)、就労継続支援(B型)、就労定着支援の各サービスを提供する法人

1.    調査の概要

1)    調査の目的

WORK! DIVERSITY プロジェクトを展開するにあたり、障害者就労支援機関が本事業に参加する可能性がどれだけあるかを把握するため、ダイバーシティ就労支援の取り組み状況、意向、能力等を明らかにする。

2)    調査対象

障害者総合支援法に基づく以下の支援機関を運営する法人とする。

      就労移行支援事業所

      就労継続支援(A型)事業所

      就労継続支援(B型)事業所

      就労定着支援事業所

全数調査(調査対象数 約12,000件)とし、WAM-NETの情報に基づき調査対象リストを作成した。

3)    調査期間

2021年12月2日から12月24日までの期間。

4)    調査方法

調査依頼状を調査対象機関に郵送し、回答はWeb上で行った。

5)    有効回答

調査票送付数 11,912

回答法人        3,725

有効回答率     31.3%

2.    調査結果の概要

■障害者就労支援機関には、障害以外の就労困難要因を持った多様な就労困難者が、相談や支援を求めに来ており、その中には現行制度では受け入れが難しいものも少なからずいる

■現行制度で受け入れ困難な就労困難者に対しても、2/3の法人で受け入れを工夫したり、他の機関につないだりしている

■多様な就労困難者の潜在的な受け入れ意欲は高く、「制度が許せば」を含めると40%の法人が障害の有無にかかわらず多様な就労困難者を受け入れるとしている

■多様な就労困難者を受け入れるための最大の課題は人材・ノウハウの不足であり、支援制度に関する研修や多様な就労困難者の特性を理解できる研修を求めるものが多い

■約半数の法人で、多様な就労困難者の就労に向けた個別支援を、連携・協力(チーム)により支えるためのプラットフォームへの関心・参加意向がある

3.    調査結果

障害者就労支援機関アンケート調査結果 (pdf)